紀之さん(48歳・男性・千葉県・スポットワーカー)への取材インタビューです。
何気なく視聴していたライブ配信が、仕事や家庭のストレス発散になり、人見知りやあがり症を忘れてしまうほど明るい性格になったという紀之さん。夢を追いかけているライバーさんをサポートすることが、自己肯定感や尊厳に繋がっているというお話を伺いました。
お話を聞いた人 | |
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プロフィール | 紀之さん(48歳・男性・千葉県・スポットワーカー) |
ビデオ通話アプリの頻度 | ほぼ毎日 |
時間帯 | 深夜 |
主な相手 | 夢を追いかけているライバーさん |
よく使うサイト | ビゴライブ |
道具 | ヘッドホン |
やり方 | ラジオ感覚で視聴する |
工夫した点 | なるべく頻繁に通う、無理して課金しない |
ビゴライブを始めたきっかけ
――はじめに、紀之さんがライブ配信アプリを視聴するようになったきっかけを教えてください。
理由はいくつかありますが、きっかけの一つは、通っていた精神科クリニックの先生から、家と仕事の往復以外に、なにか他のことにも目を向けてみることを提案されたのがきっかけです。特にやりたい事や趣味などなく、どちらかというと人との繋がりを疲れると感じていたので、最初はなにをすればいいか想像もつきませんでした。
――なぜ、ビゴライブに辿り着いたのでしょうか。
もう一つの理由として、誰かと話したい、誰でもいいから話を聞いて欲しい、という願望があったのも事実です。矛盾するかもしれませんが、誰かと繋がりたい、寂しさ、孤独感のようなものも持っていたのだと思います。それで、いわゆるランダム通話アプリや、ビデオ通話アプリなどを試したのですが、最終的に、ライブ配信アプリに落ち着きました。
――なぜ、ランダム通話アプリや、ビデオ通話アプリにハマらなかったのですか。
ランダム通話アプリが合わなかったのは、悪戯や冷やかしが多かったからです。そもそも、暇つぶし目的で使っている人が多いので、濃い会話はできないと思いました。ビデオ通話アプリは割とハマったのですが、分刻みの課金が必要だったので、アルバイト生活の身には厳しいものがありました。
――それで、完全無料で視聴できるビゴライブに辿り着いたのですか。
そうです。最初は、ライブ配信と聞いてもピンときませんでしたが、ラジオのように視聴のみでも楽しめるものだと気付き、それから毎日聞くようになりました。
――ライバーさんとの交流は、すぐに慣れましたか。
いいえ。最初はどう振る舞っていいのか、全く分かりませんでした。見るだけでもいいことは分かっていましたが、本当にただ見るだけで、なにも発言しないのも失礼だと感じていたからです。
――ただ見るだけの楽しみ方から、どうやって変化したのですか。
ほかのリスナーさんたちの発言を参考にして、まずは挨拶をすることから始めました。ライブ配信の文化として、リスナー同士も挨拶をして、交流する空気があり、それが仲間意識に繋がっていると気付いたからです。
仕事と家庭のストレス解消法はこんな感じ
――ライブ配信アプリにハマってから、仕事や家庭のストレスが解消されつつあるそうです。
そうです。そもそも、妻にモラハラ気質があり、家庭にいること自体がストレスでした。仕事のほうは、現在はいわゆるスポットワークでアルバイトをしていますが、無職だった頃は、「旦那が働かない」「旦那が無職なんて恥ずかしい」とよく耳にしていましたから。
――ライブ配信という居場所が、いわゆるサードプレイスの役割を果たしているのですね。
そうだと思います。テレビやラジオのように、一方的に受け身で視聴するのではなく、相互に交流できるからこそ、自分の居場所だと感じられるのだと思います。特に、「ただいま」「おかえり」と言い合える場があるのは、それがリモートのバーチャルな場とはいえ、ありがたい存在です。
――特にお気に入りのライバーさんはいますか。
ビゴライブのライバーさんは、娘ほどの年齢の若さですが、アイドルのように夢を追いかけている姿を見るのが好きです。例えば、奨学金を返したい、海外でワーホリにチャレンジしたい、歌手になりたいなど、夢に向かって努力しているライバーさんをサポートすることに生き甲斐を感じています。
見るだけでも楽しめるビゴライブ
――ビゴライブの魅力は、見るだけでも楽しめる点ですか。
それはあると思います。私の場合、他人と会話するのが苦手ですし、極度の口下手とあがり症なので、人と話したいと思っても上手くキャッチボールが続きません。でも、ライブ配信という場は、基本的には受け身でいられるので、気持ちが楽になります。
――クリニックでは、うつ病と診断されたこともあるそうですが、恋愛には前向きになれるようになりましたか。
ライブ配信で人と関わることは、間違いなくよい方向に影響していると思います。たとえオンラインだけの関係性であっても、誰かを応援し、支援することで、逆に自己肯定感を高められますから。
――ダイヤやギフトなどで、応援することが自己肯定感に繋がっているのですね。
はい。やはり、人間は誰かから感謝されることで存在意義を感じるのだと思います。私の場合は、そのビゴライブのライバーさんをサポートし、感謝されることが、尊厳に繋がっています。
編集後記
今回は、仕事や家庭でのストレスから、うつ病と診断された一方で、サードプレイスを見つけて恋愛することに前向きになれたという紀之さんにお話を伺いました。
ビゴライブをはじめ、見るだけでも楽しめるライブ配信アプリですが、ライバーやリスナーたちとの交流の中で、人を応援すること、感謝することへの喜びを感じたという紀之さん。
それが、自己肯定感や尊厳に繋がり、ストレス解消や前向きな行動力に繋がっているというお話が興味深いものでした。
誰もが寂しさ、孤独を抱えている昨今、AIにできないこと、AIが苦手とすることの一つが、生身の人間同士の交流であることを示しています。
ライブ配信というオンライン空間が、家庭でも職場でもない、第三の居場所となり、それがよりよい人生を歩むきっかけになっている。
そんなお話が印象的でした。
ありがとうございました。